よく、お酒のことを「アルコール」と言いますよね。でも場合によっては「エタノール」と言うこともあります。
また、最近だと新型コロナウイルス感染症予防のために「アルコール消毒」と言ったり、「消毒用エタノール」が売られたりしていますよね。
「アルコールとエタノールって何が違うの??」
「いったいこの2つは何が違うの?それとも同じなの??」
この記事では、そんな疑問にお答えしていきます。
私は医療分野の国内企業、同じく医療分野の外資系企業での勤務経験があり、大学時代には有機化学も学んでいました。
ここでは、その経験から化学を知らない方にもできるだけ分かりやすく「アルコール」と「エタノール」の違いについて図を交えながら解説していきたいと思います。
この記事を読み終えるとあなたは、「アルコール」と「エタノール」の違いを周囲の人に教えてあげられるレベルの知識が身につくと思いますよ。
エタノールはアルコールの種類の1つです
初めに結論からいいますと、上の図のように「エタノールはアルコールの種類の1つ」です。
アルコールには、メタノールやエタノールやプロパノールやその他たくさんの種類があります。
エタノールはそのうちの1つなのです。
ではなぜ、お酒のことを「アルコール」と呼んだり、エタノールの消毒液は「アルコール消毒」と呼んだりするのでしょうか??
それは、「アルコール」と言った方がより多くの人たちに伝わるからです。
正確にいいますと、お酒も消毒液も成分は「エタノール」なのですが、化学をよく知らない人が聞くと、「はぁっ!?エタノール?なにそれ?」と混乱してしまう方が少なからずいらっしゃいます。
なので、広く「アルコール」と言ってあげることで、「あぁ、アルコールね!それなら聞いたことあるよ!」となるわけです。
では、「エタノール」とは何なのでしょうか?
アルコールにはたくさんの種類があることは上でお話ししましたが、ここから詳しくご紹介していきますね。
アルコールの名前のつけ方には規則性があります
アルコールにはたくさんの種類がありますが、名前のつけ方にはある規則があります。
それは、うしろに「~オール」を付けるというものです。
もともとアルコールは、炭化水素(炭素と水素からできている分子)の水素原子(図の「H」)を「OH」に置き換えたものです。
いちばん小さい炭化水素は「メタン」ですが、これに「~オール」を付けると「メタノール」となります。
そして、2番目に小さい炭化水素の「エタン」に「~オール」を付けると「エタノール」となります。
これが、お酒や消毒液に含まれているエタノールという化学物質の正体です。
ちなみに、上図をみてお気づきになったかもしれませんが、左の赤枠で囲っている「H-C-H」が1つ増えるごとに名前が変わります。
3番目のプロパンは家庭用ガスの「プロパンガス」で有名ですよね。
【余談】炭化水素にはいろんな種類があります
余談ですが、アルコールの元になっている炭化水素(炭素と水素からできている分子)の名前にも規則性があります。
ヒントはギリシャ数字です。
少し違うところもありますが、ギリシャ数字は1:モノ、2:ジ、3:トリ、4:テトラ、5:ペンタ、6:ヘキサ、7:ヘプタ、8:オクタ、9:ノナ、10:デカ・・・といった具合です。
上の表のように、炭素が1つ増えるごとに名前が変わります。
ギリシャ数字は意外と身近に使われていますので、例を挙げてみますね。
②ジ:ジレンマ(2つ)
③トリ:トリプル、トライアングル(三角形)
④テトラ:テトラポッド(防波堤にありますね)
⑤ペンタ:ペンタゴン(米国防総省)
⑥ヘキサ:クイズヘキサゴン(懐かしい)
⑧オクタ:オクトパス(足が8本)
【まとめ】エタノール=アルコールですが、アルコール=エタノールではありません
かなり話がそれてしまいましたが、結論としては、
『エタノールはアルコールの一種ですが、アルコールはエタノールだけではない』
ということですね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
自宅にいる時間が増え、お酒を飲む量が増えてきている人は、この化学物質を体内に取り込んでいるということを自覚してみましょう。
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