広告

『アルコール依存症を知る!』の概要まとめ

書籍

「このままお酒を飲み続けていくと一体どうなってしまうんだろ・・・

「お酒をやめたいのにやめられない・・・」

「自分はもしかしたらアルコール依存症なのかも・・・」

「アルコール依存症を知る!」という書籍は、このような不安を抱えているあなたにぴったりの入門書です。

この記事では、「アルコール依存症を知る!」のポイントを私なりにまとめてみました。

文字も大きく、150ページほどしかないのでサラッと読めましたよ。

アルコール依存症を知る!―回復のためのテキスト

人が不安を感じるのは「知らないから」なんです。

逆にいうと、知ってしまえば不安を感じることは少なくなるはず!

もし興味があれば、ぜひ本書を手に取ってみてくださいね。

私は現在、ヘルスケア関連企業に15年以上勤務しており、2019年10月から完全断酒を継続中です。

Twitterもやっていますので、ご興味あればリンクボタンからよろしくどうぞ(^^)

さてこの本の著者ですが、アルコール依存症の治療経験豊富な森岡洋先生です。

そして森岡先生の簡単なご略歴は以下の通りです。

森岡 洋(もりおか ひろし)
1975年 鹿児島大学医学部卒業
→東京慈恵医科大学 精神神経科
→国立武蔵療養所
→川崎市多摩川病院
→岸和田市泉州病院院長
→元・森岡クリニック院長

また、発行元のASK(アスク)とは、「アルコール薬物問題全国市民協会」のことです。

つまり本書は、

アルコール依存症の臨床経験豊富な医師が執筆し、アルコール依存症に関わる市民団体が発行している

という書籍ですので内容の信憑性が高く、しかも一般人向けに内容をかみ砕いて書かれている、とても読みやすい一冊なのです。

それでは、私が本書を読んでみて印象に残ったところをご紹介していきますね。

広告

9つの体験エッセイ

9つの体験エッセイ

まずこの書籍を読んでみて印象的だったのが、リアルな「体験エッセイ」が各章末に掲載されていることです。

それぞれ2~3ページくらいなのですが、その中身がいずれも濃厚で、その人の人生の一場面を「疑似体験」しているような感覚になります。

そして、「疑似体験」とはいえとても他人事とは思えず、「自分にもこういう未来が待っていたのかもしれない・・・」と思わざるを得ない生々しいエッセイなのです。

ここでは内容を書くことはできないので、各エッセイのタイトルだけ以下にまとめますね。

「私の離脱症状」
「三途の川」
「夜の寒さ」
「シアナマイドの思い出」
「はじめての精神病院」
「野球観戦」
「雨よ、流せ!」
「怒りよ、静まれ!」
「朝のゆううつ」
 
広告

酒の飲み方

酒の飲み方

コントロール障害があるかないかは、その人のアルコールの飲み方をみれば容易に判断することが出来る。

『アルコール依存症を知る!』12ページより

「お酒をやめたいのにやめられない」というのは、見方を変えると「お酒のコントロール障害」と同義です。

上記引用文にも書かれている「その人のアルコールの飲み方」についてのチェックポイントは次のとおり。

あなたはいくつ当てはまりますか??

✔ 酒を飲む「時間」「場所」「量」が社会基準から外れてくる。
(昼間から飲む、職場で飲む、1日5合以上飲む、など。)

✔ 毎日ほとんど同じパターンの飲み方をする。(ほぼ同じ時間に同じ量の酒を毎日飲む。目を覚ますと酒を飲み、酔っぱらって寝てしまい、起きるとまた酒を飲む、の繰り返し。)
✔ 今日は少量で切り上げようと決意して飲み始めるが、その通りに実行できない。また、何度も断酒を試みるがいつも失敗に終わる。
✔ 自身にとってかなり不利益になる現実を突きつけられても酒をやめることができない。
✔ ふるえ、発汗、吐き気、嘔吐、焦燥感などの離脱症状を予防したり治したりするために飲酒する。
✔ 朝から飲む。
✔ いつでもアルコールを飲めるように準備している。夜中でも買えるところを知っている。酒を隠しておく。アルコールのストックが減ってくると次を準備しておかないと落ち着かない。
✔ 隠れ飲みをする。
✔ 宴会に行くときはあらかじめ飲んでから行く。人が注いでくれるのが待てずに、手酌で飲む。

私の場合、昼間から飲むこともありましたし、同じ時間に同じ量の酒を毎日飲んでもいましたし、少量で終われたことはありませんし、いつでも飲める環境を整えていましたし、隠れても飲んでいましたし、0次会から飲んでいました・・・。
広告

「認める」ということ

「認める」ということ

周囲の人にお酒の飲み方を指摘されて、「自分はアルコール依存症ではない!一緒にするな!」と必死に否定したことはありませんか?

ここで本書の一部を引用しますね。

次のように考えている人は、まだ自分がアルコール依存症であることを認めていないのである。

①今までは飲み過ぎたのが悪かった。二合以上は絶対に飲まないようにしよう。

②週末の晩だけ飲むことにしよう。

③強いアルコールに手を出すとよくないので、ビールだけ飲むことにしよう。

④意思さえしっかりしていれば、飲んでも問題は起こさないだろう。

⑤もう三年もやめたのだから飲めるような体になったかもしれない。

⑥ちょっとくらい飲んでも、酒を切って病院に帰ればわからないだろう。

⑦やめようと思えばいつでもやめられるので、アルコール依存症ではない。

『アルコール依存症を知る!』19~20ページより

いかがですか?

私は読んでドキッとしてしまいましたが、ここに書かれていることの多くはあなたにも当てはまる(当てはまっていた)のではないでしょうか?

断酒の第一歩は、「認めること」なのです。

この「認める」というのが一番のハードルかもしれませんが、ここを乗り越えれば歯車は回り始めますよ。

酒飲みの心理・思考

酒飲みの心理・思考

第5章では、アルコール依存症者の心理・思考についてまとめられています。

本書によると、この病気になるとどんな性格の人でも、ほぼ似たようなものの考え方をするようになるそうです。

その「ものの考え方」とは、具体的に次の12項目です。

あなたにはどれくらい当てはまりますか??

①健康になりたい欲求と病的飲酒欲求をもつ

②孤独感と劣等感をもつ


③少しくらいなら飲んでよいのではないかと思う

④自分はアルコール依存症ではないと考える

⑤他人の攻撃をする

⑥飲んだことに理由をつける

⑦嘘を言う

⑧自分ほど偉い人間はいないと思う

⑨飲むこと以外のことが考えられなくなる

⑩自分の回復が信じられなくなる

⑪酩酊時の記憶喪失(ブラックアウト)

⑫病的嫉妬

こちらも私はかなり当てはまっていましたね。。

特に、

「少しくらいなら飲んでも良いのでは?」

「自分はアルコール依存症ではないと考える」

「飲んだことに理由を付ける」

あたりは、当てはまる人は多いのではないでしょうか。

心の中の「健康な部分」と「病的な部分」とを見わけるべきである。酒はやめたい、家族にもずいぶん迷惑をかけてきたというのは、健康な心である。飲んでもかまわない、悪いのはまわりだというような考えは病的なもので、飲酒問題を見えなくして病気をさらに進行させるように働く。アルコール依存症について学び、他の人の体験談をよく聞いて、事実をごまかして飲酒を続けようとする自分の心と闘い、自分の姿をありのままに認めていくことが回復への第一歩である。

『アルコール依存症を知る!』76ページより

ここにも書かれていますが、今の自分を「ありのまま」認めてあげることが回復への第一歩なんですね!

断酒継続のためにすべきこと

断酒継続のためにすべきこと

断酒を始めても、すぐに挫折してなかなか継続できない・・・という人も多いのではないかと思います。

第6章では、断酒を継続していくためにすべきことが10項目挙げられています。

一度に全て実行するのは難しいかもしれませんが、1つずつでもチャレンジできると良いですね。

①AAや断酒会に出席すること

②酒は飲まないと宣言すること


③小さな成功を積み重ねること

④危ない場所には近寄らない

⑤腹を減らさないこと

⑥腹を立てないこと

⑦疲れすぎに気をつけること

⑧仕事につくのを急がないこと

⑨抗酒剤を服用する

⑩定期的に通院すること

私も、この中のいくつかは常に意識をしています。

⑤⑥⑦については、よく出てくる「HALT」のうちのHATですね。

AAや断酒会も書かれていますが、実は私は行ったことがありません。

その代わり、Twitterの活用も有効だという意見に私は賛成ですね。

アルコール依存症から回復するためには、少なくとも次の二つのことは理解して実行しなければならない。そのひとつはアルコールに対してブレーキの効かない体になっていて、一杯のつもりで飲みはじめても必ず大量問題飲酒になってしまうこと、もう一つは自分一人の力では断酒継続はむずかしく、そのためには自助集団に加入する必要があることである。

(中略)

身体的な健康をとり戻し、精神的にも安定し、家族からも頼りにされ、日常生活の中でアルコールを飲む必要を感じなくなり、他人と協調しながら仕事ができているというのが、もっともよい回復であろう。

『アルコール依存症を知る!』93~94ページより

いずれにせよ、自分一人の力なんてたかが知れています。

一人で解決しようとするのを諦めて、一人でも多くの人の力を借りましょう。

自分の感情を知る

自分の感情を知る

人はさまざまな感情をもつ生き物ですが、自分の感情を知ることで断酒継続のハードルを下げることができます。

特に酒飲みの人に付きものである感情は「怒り」ではないでしょうか。

イライラしたり怒りを覚えると、「えーい!もう飲んでやる!」と飲酒欲求が湧いてくることもありますよね。。

本書の第8章では、そういった「感情」について書かれていましたのでまとめてみました。

・飲酒によって不快な感情を解決しようとすると、ますます泥沼にはまっていく

・感情は放置すれば消失する


・感情を引き起こす「刺激」に慣れることで、次第に感情は鈍くなる

・感情は、「環境」「認識」「行動」によって変化する

・感情は自分の思い通りにならない

やはり、酒では何も解決できないということなんです。

むしろ、感情は「時間」が解決してくれますし、慣れることもあるようです。

そして、特に怒りの感情については、トリガーから距離を置き、時間を空けることが大切です。

感情は自分の思い通りにならず、あるがままに受け入れるしかない。しかし、認識や行動を変えることによって、間接的に感情を動かすことはできる。いつも不愉快に暮らしている場合は、考え方や行動を変えるようにするとよい。

『アルコール依存症を知る!』126ページより

再飲酒を活かす

再飲酒を活かす

断酒が一発でうまくいくことは稀で、軌道に乗るまでに何度も再飲酒(スリップ)してしまうこともあるかと思います。

そんな時には、「転んでも、タダでは起きない!」という気持ちで何か1つでも得るようにしましょう。

本書の最後にある「付録」には、再飲酒をどう活かすのか?ということについて、そのチェック項目が記載されています。

✔ アルコールに対してコントロールが効かないことを認めているだろうか?

✔ 自分一人の力でやめ続けられると考えていないだろうか?


✔ 友人の整理はついているだろうか?

✔ 家族は治療に参加しているだろうか?

✔ 感情の動揺を飲酒で解決しようとしていないだろうか?

✔ もう治ったと思っていないだろうか?

✔ すべてがわかっていても失敗することもある

スリップしてしまった場合は、これらの項目をチェックしてみましょう。

まとめ:『アルコール依存症を知る!』の概要まとめ

まとめ:『アルコール依存症を知る!』の概要まとめ

最後に私なりにまとめた本書のエッセンスは次のとおりです。

・自分のお酒の飲み方を把握する


・お酒をコントロールできないことを認める

・酒飲みに特有の考え方を知る

・断酒継続のためのアクションを1つずつ実行する

・今の自分の感情を客観的に把握しておく

・再飲酒してしまってもそこから学びを得る

最後まで読んでいただきありがとうございます。

少しでもお酒をやめる手助けとなればうれしく思います。

アルコール依存症を知る!―回復のためのテキスト

コメント